トンガの噴火 気象庁の対応
とんでもない噴火
日本から約8000kmも離れたトンガで海底火山が噴火しました。この火山の名称は、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山と呼ばれていますが、この名は、海底カルデラの縁が海上に顔を出した二つの島の名前をくっつけたものだそうです。
この噴火ですが、噴火爆発指数(VEI)6に相当するとんでもない噴火であることがわかってきました。記録的な冷夏の原因にもなった1991年のフィリピン・ピナトゥボ山の噴火にも迫るとの報道もあります。少なくとも東京ドーム800個分以上のマグマが放出されたと想定されていて、生きている間に遭遇するかしないかの大噴火であったことは間違いないようです。
「被害の心配なし」から、「津波警報」
日本でも混乱が起こりました。気象庁は噴火から約6時間後の15日午後7時ごろ、海面変動を0・2メートル未満と予想し。「被害の心配はないと伝えました。ところが、同8時ごろから潮位が上昇、同11時55分には鹿児島県奄美市で1・2メートルが観測されました。追われるように翌16日午前0時15分に奄美群島・トカラ列島に津波警報が出ました。
潮位の上昇が観測され始めたころと同時に、全国各地で気圧が2ヘクトパスカル程度上昇する現象も観測されています。
2011年の東日本大震災を経て、日本の研究者の努力により地震動などによる津波の伝搬は、規模や時刻をかなり正確に予想することができるようになっています。しかし、今回の潮位変動は想定よりも早く潮位の変化が現れました。
気象庁の会見
気象庁は未明に会見し、「わたしたちも今までこういった現象は確認していない」と発言されていました。予想時刻とは全く別のタイミングでの潮位変化に対して、「既存の枠組みを使って人々の命が救えるのなら」と津波警報・注意報を使って国民に非難を訴えました。これから解明されていくのだと思いますが、日本での潮位変化の大きさと時刻は、これまでの研究では考えられないことだったのです。
「原因はわからない」
気象庁担当者の発言をマイナスのイメージで捉えている人もいるかもしれませんが、「わからない」=勉強不足ではなくて、今の科学では解明できていないことを「わからない」とおっしゃったのです。誠実な対応であると私は思います。これまでの研究や経験からは考えられないような事実に直面し、さぞ当惑されたことが想像できます。しかし、あの気象庁の会見は誠実な会見だったと思います。