スプレー菊
先日買ってきたスプレー菊が、玄関先で元気に花を咲かせています。スプレー(SP)菊は、「茎が途中で、枝分かれして、数輪の花を咲かせる」という特徴がある菊です。1970年代に西洋経由で入ってきたため西洋菊とも呼ばれ、日本でも親しまれています。
スプレーマムは、アメリカ原産の多年草で、蕾を摘まずに枝状(スプレー状)に多数花を咲かせる1茎多花咲きのキクです。キク特有の花持ちの良さと、バラエティーに富んだ花色・花形が特徴で、様々なシーンで使用されています。洋ギクということで、一般的にキクではなくマムと呼ばれています。
花色は、白・黄・ピンクの他、赤・オレンジ・緑・複色など多彩です。また、花型は一般的な一重咲き以外にも、花弁数が多く華やかなアネモネ咲きやデコラ咲き、丸くボールのようなポンポン咲き、花弁の先がスプーンのような形をしたスプーン咲きなど様々な形があります。
スプレーマムの歴史は、元々アメリカで1940年代に作られたことから始まります。その後ヨーロッパへ渡り、日本に導入されたのは1974年。日本で最初に導入したのは、実は愛知県豊川市(現JAひまわり)です。輪菊と比べて栽培の手間がかからず、栽培期間も短いため省力化が図れるということで、徐々に増産され、全国に広がりました。豊富な花色・花形があることから、いろいろな場面で使用されており、葬儀や仏花はもちろん、ブライダルやフラワーアレンジ、家庭での観賞用など使用用途は様々です。
キクは、代表的な短日植物です。草花の生長や開花には、気温と日長が大きく関係しており、気温は植物の生長に、日長の長短は植物の花芽形成に欠かせません。日長が短くなることで花芽を形成する「短日植物」、長くなると形成する「長日植物」、日長に関係なく形成する「中性植物」に分類されます。短日植物は、夜の暗い時間(暗期)が、11時間前後よりも長くなると花芽の形成が始まります。店舗で販売されている草花の多くは、気温と日長を調整し本来の開花時期より早く開花させて販売されており、また、品種改良も進んだため、季節に関係なく開花させる花も多くなっています。花芽形成に必要な夜の暗い時間「暗期」を人工的に作り出して花芽を形成させることを「短日処理」といい、一般的に普及しているのは、ポインセチアを赤くしたり、シャコバサボテンの開花を早めたりするときに処理されています。この短日処理は家庭で行うことも可能です。夕方5時から翌朝8時まで、2ヶ月程度、段ボール箱をかぶせ続けると開花が期待できます。ただし、途中1日でも中断するとその効果がなくなるので注意が必要です。
短日植物
キク・ポインセチア・シャコバサボテン・コスモス・アサガオ・マリーゴールド・カランコエ
長日植物
カーネーション・ペチュニア・マーガレット・マツヨイグサ・ムシトリナデシコ
中性植物
ホウセンカ・センニチコウ・スイートピー・アジサイ
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